伊藤整によると「とんでもハップン」はアメリカの一世のつかっていた日本語なのだそうだ。Never happenを「とんでもハップンです」といったのだとか。 したがって「とんでもハップン」は「トンデモハップン」でもなければ「とんでもはっぷん」でもなく「とん…
半世紀まえには詩人は割にいたるところに存在した。小説家が書き、批評家が書き、音楽家が書き、もちろん詩人が書いた。いまはどうか知らん。 *** 上林暁をみていると、画面を白っぽくするだけではダメなことがわかる。当然だ。しぜんにあたりまえに漢字…
見栄は含羞とうしろで手をつないでいる。 *** ほんとうにじぶんがその立場になると、かえって書けなくなる。わからないうちは書けるが、わかると書けなくなる。書けないときはわからないせいにしたくなるが、そういうものでもない。 あたりまえのことだが…
万年筆のエレガンテ。ペン先の応答、心やすい運筆、とぎれないインクフロー。 *** 向田方式を連想でつないでいくとすれば、上林方式は「おっ」とおもうできごとに向けて自分の行動を書き連ねていき、そこから一日のおわりでしめくくる。要は日記形式なの…
定期的にくずやにたのんでがらくたを金にかえると、すこしは収入になった。そうしてふた月がすぎ、雪がちらつくころになって、私はようやく冬じたくをはじめた。 部屋には古い薪ストーブが据えつけられており、薪を調達できればつかえそうだった。のこったが…
向田邦子の運筆まとめ。 ・自分のことをひとつずつ掘りさげて書いていく。 ・あるある的な感情、または「おっ」と思ったことがらについて、例をいくつかさがし、その例からひろがるものを本題としてつかう。 ・とりあげる例を、にたようなものばかりにせず、…
ときおり引用されているようだけれど、世界でもっとも短い手紙は、ユーゴーが『レ・ミゼラブル』を出版した際、その版元にだした手紙であるという。その全文は 「?」 というもの。それに対する版元の返事が 「!」 だったというから、これはもう恐れ入り谷…